東大理系数学 2024-1
座標空間内の点 $A(0,-1,1)$ をとる。$xy$ 平面上の点 $P$ が次の条件 (i),(ii),(iii) をすべて満たすとする。
(i) $P$ は原点 $O$ と異なる。
(ii) $\angle AOP \ge \dfrac{2}{3}\pi$
(iii) $\angle OAP \le \dfrac{\pi}{6}$
$P$ がとりうる範囲を $xy$ 平面上に図示せよ。
方針、略解
実は概形だけなら解く前から分かる。(後述参照)
とはいえ結局は(i)~(iii)を$x,y$の条件に同値変形することになる。
問題の背景
実は、東大は(純粋な意味における)初等幾何、つまり数Aの図形分野を2001-1を最後にして20年以上全く出題していません。
しかし、複素数の等式の解釈に円周角の定理を使わせたり、いわゆる「等積変形」を積分で用いたり、あるいは図形とベクトルを絡めて出題されたりと、初等幾何をテーマではなく道具として出題する例は東大に限らず大学入試ではよく見かけるパターンです。
そして本問もまた、幾何的解釈が役に立つ一問でした。今回利用できる幾何の知識は、「円錐曲線」です。
円錐を...
① 軸と垂直な平面で切ると、断面は円
② 母線と平行な平面で切ると、断面は放物線
(※平面は軸と重ならないとする)
③ ③よりも「なだらかな」平面で切ると、断面は楕円
④ ③よりも「急な」平面で切ると、断面は双曲線
以下オマケ...
⑤ 円柱を、軸と平行でない平面で切ると、断面は楕円
⑥ 放物面を、軸と平行でも垂直でもない平面で切ると、断面は楕円
⑦ 一葉双曲面を、母線(?)と平行な平面で切ると、断面は放物線
(※平面は中心と重ならないとする)
⑧ 一葉双曲面を⑦よりも「急な」平面で切ると、断面は双曲線
⑨ 一葉双曲面を⑦よりも「なだらかな」平面で切ると、断面は楕円
(一葉双曲面の見た目については、2024-5を参照。)
これらは座標を用いると(計算を頑張れば)証明できますが、②,③,④についてはかなり美しい証明が知られています。視覚化の大御所、3Blue1Brown(日本語版)による動画が非常に教育的です。
ちなみに証明の中で出てくる内接球には、「ダンドラン球面」という名前が付いています。検索するときのヒントにどうぞ。
類題紹介
まずは、円錐曲線の問題です。
(1) すべての接点 $T$ は1つの平面上にある。この平面の方程式を求めよ。
(2) $D$ の体積を求めよ。
(3) $D$ を $z$ 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。
(東大模試)
(1) このグラスを右の図(省略します。ネットで検索してください🙇)のように角度 $\alpha$ だけ傾けたとき,できる水面はだ円である。このだ円の中心からグラスのふちを含む平面までの距離 $l$ と,楕円の長半径 $a$ および短半径 $b$ を,$m=\tan\alpha$ で表せ。ただし楕円の長半径,短半径とは,それぞれ長軸,短軸の長さの $\dfrac{1}{2}$ のことである。
(2) 傾けたときこぼれた水の量が,最初の水の量の $\dfrac{1}{2}$ であるとき,$m=\tan\alpha$ の値を求めよ。ただしグラスの円錐の頂点から,新しい水面までの距離を $h$ とするとき,残った水量は,$\dfrac{1}{3}\pi abh$ に等しいことを用いよ。
(東大1986)
ほぼ初等幾何のみを使って解けることが知られている。
座標空間内の平面 $z=1$ 上に、 $(0,0,1)$ を中心とする半径 $1$ の円 $C$ がある。空間内を動く点 $P$ は次の(条件)を満たすとする。
(条件): $C$ 上の点 $A$ であって、次の条件(i)(ii)(iii)を全て満たすものが存在する。
$$\begin{cases}(\mathrm{i}) P は A,O いずれとも異なる。 \\(\mathrm{ii}) \angle{AOP} \leqq\frac{2\pi}{3}\\(\mathrm{iii}) \angle{OAP} \leqq\frac{\pi}{4}\end{cases}$$
$P$ が動きうる範囲を $K$ とする。 $K$ の体積を求めよ。
(東大2024 魔改造)
※条件(i)(ii)(iii)は原作と微妙に異なるので注意
ここからは「幾何的解釈が役に立つ」問題を集めます。
座標平面上の3点$A(0,1),\ B(0,2),\ P(x,x)$をとり、$\triangle APB$を考える。
$x$の値が変化するとき、$\angle APB$の最大値を求めよ。 (京大2010)
$O(0,0,0)$, $A(3,0,0)$, $B(0,3,0)$, $C(0,0,4)$, $P(0,0,-2)$
をとる。さらに $0 < a < 3,\ 0 < b < 3$ に対して 2 点 $Q(a,0,0)$ と $R(0,b,0)$ を考える。
(1) 点 $P,\ Q,\ R$ を通る平面を $H$ とする。平面 $H$ と線分 $AC$ の交点 $T$ の座標,および平面 $H$ と線分 $BC$ の交点 $S$ の座標を求めよ。
(2) 点 $Q,\ R,\ S,\ T$ が同一円周上にあるための必要十分条件を $a,\ b$ を用いて表し,それを満たす点 $(a,b)$ の範囲を座標平面上に図示せよ。
(出典不明、入試問題)
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